今回注目したいのはフォークリフトを使った即席遊具で8歳女児が死亡した事故について。
このフォークリフトを操作し、即席遊具を作った父親にどのような罪になるのか気になったので、調べてみることにしました。
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事故の概要
事件は8月28日夕方5時ごろ、前橋市堀越町の自宅敷地内でフォークリフトを用いて即席のブランコを作り、その遊具で遊んでいた作山由奈さんが死亡しました。
その原因はベルトを引っかけるために使っていたパレットが頭の上に落下してきたため。
そのパレットは木及び鉄製で重さなんと300㎏。
大人でもひとたまりもありません。
由奈さんは病院に搬送されましたが、すぐに死亡が確認されました。
事故当時パレットを差し込んだフォークリフトは3mの高さに挙げられ、パレットにはベルトを吊った状態にして遊んでいたとのことです。
ベルトはパレットと組み合わせて荷物を固定するときに使うラッシングベルトを使ったと思われます。
何とも痛ましい事故ですね。
ちなみに子供は他にも2名いましたが、無事でした。
父親は罪に問われるのか?
今回即席ブランコを用意し、子供を遊ばせた結果亡くなってしまった場合、父親は罪に問われるのか。
過去の例を見てみましょう。
日本工業大学作品火災事故
2016年11月6日明治神宮で行われた「TOKYOデザインウィーク」に展示していた遊具兼作品から出火。
木製のジャングルジムで遊んでいた5歳児が全身に火傷を負い死亡した事故です。
この事故は白熱灯の熱によって木くずに引火したことによって引き起こされ、当時その認識をしていたかどうかが争点になっていました。
結果、この遊具の製作者は業務上過失致死傷の罪で禁固10か月執行猶予3年の有罪判決を東京地裁で受けましたが、不服として控訴しています。
自作遊具が横転し、子供が死亡
2018年6月21日大阪府岸和田市で9歳の子供が父親手製の遊具(台車の上に木枠を乗せた神輿のようなもの)で遊んでいたところ、その遊具が横転し、衝撃で胸を強打して死亡しました。
場所がだんじり祭りで有名な岸和田ということもあって、ミニ神輿を作ってその上に乗るだんじりごっこをして遊んだりするようです。↓
上に乗って遊ぶものであれば横転する可能性は十分にありますし、大きめの神輿となれば下敷きになってしまったらひとたまりもありません。
以上を踏まえると…
今回の件で父親が罪に問われるかどうかは不透明です。
上記2つの事例を見ると大阪の事故が今回の事例に一番近いですが、神輿を作成した父親は罪に問われた記録は見つけられませんでした。
「まさか死んでしまうとは思わなかった」ということで保護責任者遺棄致死罪※には該当しなかったということが考えられます。
※保護責任者遺棄(不保護)致死罪とは
出典:シェアしたくなる法律相談所 https://lmedia.jp/2017/06/24/79909/
「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護」せず、死なせてしまった場合に科せられる犯罪です。
要は危ないと認識していたのに遊ばせて、死なせてしまったら罪。
ということなんですね。
この大阪の件にしても、今回の件にしても状況的に「危ないと認識して」遊ばせるというのはどう考えても矛盾しているので、喜んでもらうために遊ばしていたと考えるのが妥当です。
また、フォークリフトで遊ぶことに関しては、フォークリフトの用途外使用になり労働衛生法に抵触する可能性がありますが、被害者が第3者ではなく身内なので、罪に問われるかどうかは不透明です。
(参考:シンク出版 人と車の安全な移動をデザインする)
フォークリフトブランコで8歳娘死亡。父親の罪についてのまとめ
フォークリフトブランコで8歳娘死亡。父親の罪についてのまとめ ・父親が即席で作ったフォークリフトブランコで8歳女児が落下してきたパレットに頭を打ち付けて死亡した。 ・過去に父親が製作した遊具を用いて死亡した事故はあるが、父親が罪に問われたかは不明である。 ・今回の件に関しては危険の認識がなかったとして、保護責任者遺棄致死罪には該当しないように思える。 ・フォークリフトを用途外使用しているので、労働衛生法に抵触するおそれはあるが、第3者ではなく身内が被害者なので、罪に問われるかは不透明。
楽しんでもらうために作ったのに大切な命が失われてしまうなんとも痛ましい事故でしたが、危険予知ができてさえいれば防げた事故だと思うとやるせない気持ちになりますね。
結果論でいえば、リスクヘッジが足りなかったということになるのでしょうけど、それを言ったらキリがありません。
いずれにせよ、せめて親の目の届く範囲では大きな事故に繋がらないよう、危険予知を意識していく必要があるのは間違いないでしょう。