今回注目したいニュースは死刑の執行差し止めを死刑囚が請求したというニュース。
11月29日に国に対して絞首刑は残虐だとし、死刑執行の差し止めと3300万円の賠償を求める訴えを起こしました。
そこで今回気になったのは
・死刑執行差し止めを求めている死刑囚3人とは一体誰なのか。
・原告代理人の水谷弁護士とはどういった人物なのか。
この2つに焦点を当てて調べてみることにしました。
死刑の在り方を考えさせられるニュースとなりそうです。
Contents
今回の提訴の概要
11月29日「絞首刑による死刑は残虐な刑罰を禁じている憲法に違反する」として国に対して死刑執行の差し止めと3300万円の賠償を大阪地裁で提訴しました。
この件に関して訴訟を起こしているのは死刑囚3人であるとのことですが、どの死刑囚なのかは明かされていません。
死刑が恐ろしいのはわかりますが、事件の凄惨さから絞首刑が妥当と最高裁が判断したことですし、それだけの審議を重ねているにも関わらず、遺族の心情を無視した今回の訴えは、死刑囚自身が犯した罪を反省をしていないととらえることができます。
死刑執行の差し止めを求める死刑囚3人とは誰なのか
この死刑執行差し止め請求をしている死刑囚は一体だれなのか。
新聞各社の取材から以下のようなヒントが浮かび上がってきました。
①原告の3人は2000年代以降に刑が確定し、うち2人は再審請求をしている。
出典:読売新聞オンライン「絞首刑は「残虐で非人道的で違憲」と死刑囚3人が国を提訴、執行差し止め求める」
提訴したのは、いずれも死刑確定から10年以上が経過している大阪拘置所の3人。うち2人は刑事裁判のやり直しを求める再審請求中(以下略)
出典:毎日新聞「絞首刑は国際法違反 死刑囚3人が執行差し止め求め提訴 大阪」
また、刑の確定ということは上告が棄却されたことになるので、2000年代以降に刑が確定し、かつ確定から10年ということは、2000年から2012年以内に死刑が確定した死刑囚を指します。
以上のことから下記の事件の死刑囚が候補に上がりました。↓↓↓
①京都滋賀連続強盗殺人事件 死刑囚:松本 健次 ②警察庁指定120号事件 (大阪愛犬家殺人事件) 死刑囚:上田 宜範 ③右翼幹部連続殺人事件 死刑囚:久堀 毅彦 ④堺の老夫婦強盗殺人事件 死刑囚:江東 恒 ⑤連続マニラ保険金殺人等事件 死刑囚:下浦 栄一 ⑥和歌山カレー事件 死刑囚:林 眞須美 ⑦岐阜大阪連続女性強盗殺人事件 死刑囚:大橋 健治 ⑧東大阪大生リンチ殺人事件 死刑囚:小林 竜司 ⑨大牟田4人連続殺害事件 死刑囚:北村 孝 (参考:死刑確定者一覧 https://waramoon.web.fc2.com/kakutei.html)
当時世間を震撼させたこれらの事件を思い出した方や聞いたことがある方がいるのではないでしょうか。
特に和歌山カレー事件は話題性があったように思います。
この死刑囚の中で3人が死刑執行差し止めを求め、そのうち2名が再審請求中の人物とのことです。
9名の候補のうち再審請求中は⑦以外の8名。
このうち2名が死刑執行差し止めを求めていることになります。
以上のことから⑦の大橋健治死刑囚が3人のうち1人と確定しました。
あとの二人ですが、死刑確定後も特に抵抗し、一貫して無罪を主張しているのは⑥と⑨の死刑囚です。
特に⑥和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚は鑑定に誤りがあるとして、6300万円の損害賠償を請求していますが、棄却されています。
無罪を主張し、なおも賠償を求めるその姿勢はいかにも今回の死刑囚3人の訴えと似ているところがありますね。
原告代理人弁護士の水谷恭史氏とはどんな人物か
今回原告代理人の弁護士を務める水谷恭史さんは大阪弁護士会に所属している48歳、三重県桑名市生まれ、岐阜県海津市出身。
毎日新聞社の社員を7年間務めた後、京都大学大学院のロースクールを出て弁護士となった方です。
水谷氏のフェイスブックによれば「NOON訴訟※」で無罪を勝ち取った弁護士として活躍したようです。
※NOON訴訟とは 「無許可で客にダンスをさせた」として風営法違反で摘発された大阪のクラブ「NOON」のオーナーをめぐる裁判で検察の主張を退け、無罪を勝ち取った裁判(参考:CINRA)
最近では冤罪立証を無償支援する団体に寄付をしたり、冤罪関係のシンポジウムをフェイスブックで投稿したりと、不当な理由で罪を着せられた人の救済活動を行っているようです。
今回の裁判については下の動画のように絞首刑の違法性について述べていました。↓
間違っていることは一歩も引かず間違っていると主張し、国家権力に対して全くひるまない印象の弁護士さんです。原告側にとっては強力な味方がついたのではないでしょうか。
死刑執行差し止めの訴えを起こした死刑囚と弁護士についてのまとめ
死刑執行差し止めの訴えを起こした死刑囚と弁護士についてのまとめ ・11月29日、大阪拘置所に収監されている死刑囚3名が絞首刑は違憲だとして執行差し止めと3300万円の賠償を求める訴訟を大阪地裁で起こした。 ・その死刑囚は明かされていないが有力なのは岐阜大阪連続女性強盗殺人事件の大橋健治死刑囚。 ・あとの2名は和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚、大牟田4人連続殺害事件の北村孝死刑囚で両名は一貫して無罪を主張しており、今回の裁判に積極的に参加しそうな人物である。 ・この裁判の原告代理人弁護士を務めるうちの1人は水谷恭史氏で絞首刑は違法であるとして死刑囚3人を弁護する予定。
この裁判の結果次第では今後の死刑制度の在り方にかなりの変化が起こることでしょう。
もし、死刑囚の方々が冤罪であるならば、それをしっかりと証明していただき、そうでなく確定的なものであるならば、人を多く殺めた悪質で凄惨な事件を起こした責任として絞首刑がいかに苦しい刑罰であろうとそれを甘受すべきだと私は思います。
絞首刑が残虐で違憲であるとするならば、身勝手な理由で人をこの世から消してしまうことはどうでしょうか。もっと残虐なのではないでしょうか。
それこそ被害者の幸福追求の権利、人権をないがしろにする違憲行為だと思います。
司法はこの裁判でどのような判決を下すのか、世間が注目する裁判が始まります。