正義のヒーローが心無い者によってヒールにされてしまいました。
偽ピーポ君のステッカーを販売したとして愛知県の自営業の男とその妻が警視庁に逮捕されました。
その問題のデザインは「懲役上等」の文言の下に見た目はピーポ君とうり二つながらも中指を立てて挑発的な態度をとっています。
また、目線には「good bye police」の文字が。
いかにも悪趣味なステッカーですが、他にもバリエーションがあったようなので、一体どんなデザインの偽ピーポ君が出回っていたのか、著作権法に触れていると思われる二人にはどんな刑罰があるのか、気になったので調べてみることにしました。
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警察に喧嘩を売っている偽ピーポ君
懲役上等と警察に向かって言っているようにも見える中指立てたピーポ君。
国家権力に喧嘩を売っているように見えるこのダークピーポ君を作ったのは、愛知県の自営業の男性とその妻。
夫婦は2020年からこのステッカーを販売し始め、計8万円売り上げたそうです。
ちなみに問題のステッカーは1枚千円。
何に使うのか調べたところどうやら暴走族の車やバイク、デコトラなどに貼るためのものらしいです。
「赤ちゃん乗ってます」ならぬ「ヤバいヤツ乗ってます」というアピールのためでしょうか。
夫婦は違法ステッカーを売り始めた動機として「生活費のために売った」と答えているようです。
それにしても1枚1000円と利益薄の割にはかなりリスクが高いものに手を出しましたね。
結果、警視庁蒲田署のサイバーパトロールに見つかり逮捕されました。
ピーポくんをデザインした人は誰?
ピーポくんをデザインした人物は現在武蔵野美術大学で教授を務めている上原幸子さんです。
1987年に当時の警視総監が「警察を身近なものにしていきたい」という思いから、警視庁を代表するマスコットキャラクターを作ろうという話になりました。
そこで当時広告制作会社に勤務していた上原さんがデザインを担当し、現在も親しまれているキャラクター「ピーポくん」が誕生したのです。
ある意味、鎌倉警視総監が言い出さなかったら今日のピーポくんはなかったのかもしれません。ぴーぽくん誕生のきっかけになった人物ですね。
トレードマークである頭のアンテナと大きな耳は、住民のSOSや安全にかかわる情報をより早くキャッチするためのものらしく、可愛い容姿でありながら住民はしっかり守る正義のヒーロー。
警察のサイレンからとった名前も覚えやすく、親しみやすい顔立ちで警視総監の狙いどおり住民と警察の距離をちぢめる橋渡し役として活躍しているのではないでしょうか。
いまや警視庁の象徴と言える存在だと思います。
また、ぴーぽくんには歌があり、東京都民なら知っている方も多いのではないでしょうか。
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歌い出しから覚えやすい名前になっており、思わず口ずさんでしまう歌です。
他にもあった偽ピーポ君のステッカー3選
実はピーポ君は「懲役上等ステッカー」だけでなく、まだ他にもピーポ君を模した違法ステッカーが販売されていました。
今回はそのうち3つをご紹介します。
旧車會ではありません暴走族です。
こちらも警察上等と言わんばかりに中指を立てて喧嘩を売っている偽ピーポ君です。
「大変ご迷惑をおかけしております」といいつつも全くそう思っていない態度がなんとも腹立たしいですね。
ちなみに旧車會とは古いバイクを購入し、昔の暴走族の車のように改造して走る集団のことを指します。
暴走族との違いは迷惑行為の度合いで、暴走族の方が深夜の騒音、信号無視、ノーヘル、危険な蛇行走行などより悪質となっています。
その悪名高い暴走族を自ら名乗る点でも「捕まえれるものなら捕まえてみろ」と挑発しているように見えますね。
目の焦点が定まっていないピーポ君の集団
毒々しい色をした偽ピーポ君4体がハイになった状態で空を飛んでいるようです。
頬はこけており、目はうつろ。
薬物中毒に陥ってしまったようにも見えますし、違法薬物の使用を促すようなデザインです。
一線を越えた偽ピーポ君
このステッカーもといシールは有名なチョコレート菓子「ビックリマンチョコ」のおまけシールを模したもので、卑猥な言葉の名前、トレードマークのアンテナや大きな耳が無くなり下品な姿となっています。
すでに紹介したステッカーも本家を侮辱したような姿をしていますが、こちらはもはや一線を越えてしまったような姿をしています。
このようなステッカーを製作し、販売するのはピーポ君を生み出した上野さんをも侮辱するようなものですし、深く傷つくのではないでしょうか。
きっと慰謝料請求してもいいレベル。
偽ピーポ君のステッカーを販売した夫婦にはどんな罰則があるのか?
今回この違法なステッカーを販売した夫婦にはどのような罰則があるのでしょうか。
そこで過去の刑事裁判等調べてみると意外と重い罰則であることがわかりました。
偽ピーポ君ステッカーは商標法違反
今回の偽ピーポ君ステッカーは商標法違反※に該当するようです。
※商標法違反とは
出典:ベリーベスト法律事務所 https://keiji.vbest.jp/crime/trademark
商標法違反は、他人の商標権を侵害したときに成立します。
商標とは、特定の文字やイラスト、それらの組み合わせなどを独占利用するために「商標」として登録されているものです。たとえば「トヨタ」や「adidas」なども文字商標の1種です。
いったん商標として登録されると、その商標については権利者による独占的な利用権が認められます。他人は、登録されているのと同じ商標や類似する商標の利用を認められなくなります。
それにもかかわらず勝手に他人の商標や類似商標を利用すると、商標法違反となります。
故意でない場合は商標法違反に該当しないようですが、当然警視庁のマスコットキャラクターであることを知りながら警察に反抗するような態度のステッカーですし、許可をとって販売できるようなデザインではありませんから、故意で作成したことは明白です。
懲役は?
意外とこの罪は重く、懲役10年以下もしくは1000万円以下の罰金、もしくはその両方が科せられます。
今回のケースで言うと作成したのは「懲役上等」のステッカーのみで初犯ということであれば、執行猶予つきの有罪判決となるかもしれません。
「懲役上等とステッカーでうたっているのですから懲役食らってください。」と言いたいところですね。